年老いた母の扶養義務者は誰?
【扶養義務者】
<相談内容>
兄と二人の兄妹なのですが、高齢の母がおり、母の面倒は妹の私が看ています。
兄に母の扶養料を請求しているのですが、兄は私が母を勝手に連れ出したので支払わないといっています。
実際は、勝手に連れ出しているわけではなく、兄が面倒看ない為に私が看ています。
扶養料は請求できますか?
<返答>
民法では、扶養義務者が何人もいる場合、まず当事者間で十分協議をし、それでも話がまとまらない時は、家庭裁判所がこれを定めると規定しています。
家庭裁判所の調停を申し立て、それでも解決できなければ、審判を受けることになります。
このケースの扶養料について、最高裁は、費用の負担の義務がないというためには、「兄も母親に対し相当の扶養をしたであろうに、なんら相当の理由もなく妹が無理に母親を連れ去ったとか、あるいは妹が自分だけで費用を負担することを約束したとか、ともかく兄として全面的に義務を免れさせる相当な理由がなければならない」とし、「ただ妹が、兄の意思に反して母親を連れ去ったという事実だけで、兄に費用負担の義務がないとはいえない」としています。
【扶養する範囲】
<相談内容>
息子が一人いるのですが、高齢になった為、息子に面倒を看てもらおうと考えています。
しかし、現在妻が亡くなった後に、一緒に暮らし始めている内縁の妻がいます。
この内縁の妻も息子に面倒看てもらうことは法的にできますか?
<返答>
法律的には、内縁の妻のままでは、内縁の妻を引き取ったり、経済的支給を強制させることはできません。
この場合に、息子に父の内縁の妻の扶養を請求するためには、婚姻届を出して、本当の夫婦になる必要があります。
婚姻届を出すには、別に息子の同意を得る必要はなく、成年の証人2人いればできます。
婚姻届を出し、後妻となれば、先妻の子である息子に扶養してもらえる可能性はできます。
ただし、引取りを強制しても、家庭の平和は維持でなくなっては意味がないので、結局は生活費の支給を強制させることにとどまると考えられます。
【亡き夫の親の扶養】
<相談内容>
夫が亡くなり、夫の母と暮らし、面倒を看ています。
この先、ずっと夫の母の面倒を看なければならないのですか?
<返答>
法律上、夫の母に対する扶養義務はありません。
法律上相互間に当然に扶養義務があるのは夫婦、直系血族、兄弟姉妹だけになります。
ただし、例外として家庭裁判所は特別の特別の事情があると認めた場合、三親等内の親族間にも扶養義務を設定することが出来るとしています。
ですので、亡き夫の母親は姻族一親等の関係にありますから、裁判所の裁量で母親に対する扶養義務を負わせることができます。
特別の事情とは、たとえば夫から住居を相続してしまい、母親には行くべき家もなく、貯金その他の資産も使い果たしてしまい、病気で仕事もできないような事情がある場合をいいます。
この特別な事情がある場合でも、一方的に姻族関係終了届という書類を、役所の戸籍係に提出すると、妻と夫の母親との間の姻族関係が消滅してしまい、家庭裁判所は妻に母親の扶養義務を負わせることはできなくなり、また、扶養義務を設定していた場合には、届出と同時に扶養義務から解放されます。
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